原状復帰が必要な壁面への看板サインの取り付け

飲食店の薄型看板。薄さ約1mm。極厚塩化ビニルにインクジェットプリント。

南海電車なかもず駅からほど近いところにある創作和食ダイニング「福むすび」さん。

オープンから3か月あまり、ビルの2階外壁には看板があるものの、1Fのビル入口の壁面には看板が無く、 電照式のスタンド看板があるだけです。

今回はお店の入口壁面に、はじめて来た方にでもわかりやすい看板を取り付けることになりました。

看板を見たお客さんがお店をイメージしやすいデザインに

ビルの入口にあるスタンド看板にはメニューが記載されていないので、はじめて見たお客さんは、この店にはどんな料理があるのかわかりません。

具体的なメニューを入れた看板を作りたいのですが、おばんざいやメインの料理も、毎日メニューが変わるので、なかなか決まったメニューを載せずらいという事情が…

そこで、食べログに掲載している写真を使って、具体的にイメージしやすいデザインにしました。写真を大きく載せる案もあったのですが、最終的にはお店のロゴが大きく目立つデザインに決定しました。

中百舌鳥 福むすびさんの入口看板のデザインデータ
福むすび 入口看板デザインデータ

座敷や個室がある場合は必ず記載

あと、こういったお店がアピールするうえで重要なことは、“個室がある”ということです。
これ、かなり大事です(^^)
宴会での予約を取るためにも忘れずに載せましょう!

福むすびさんは完全個室ではありませんが、個室風の小上がりになったお座敷があるので、そのへんもきちんとアピールしました。“お座敷あります”と。

取り付ける際の条件を確認

ビルからは、ポスターなどを壁に貼ってもいいけど、原状復帰が条件とのこと。

つまり、看板を取り付けた跡が残らないようにしないといけません。

それはお店が退店するときですが…

ビルなどのテナントで入る場合にはだいたい原状復帰が原則ですね。

ワタシたちも、看板などの広告物を取り付ける際に建物にダメージが少ない方法を考えます。

どんな素材で看板を作るかを検討する

今回は福むすびのオーナー様が、掲出使用可能な面積を全部使って看板を取り付けたいということでした。取り付け可能な面積は幅875mm×高さ2400mmの縦長サイズ。

取り付ける壁の素材は、石のレンガみたいな素材感のあるボードです。フラットな面ではなく、けっこう凸凹しています。

看板取り付け可能な範囲 福むすび@中百舌鳥
赤い点線が看板取り付け可能範囲。幅875mm×高さ2400mm
表面が凸凹している壁面

しかも取り付け跡が残るとダメということなので、基本的には“はがした跡が残らない”両面テープを使わないといけません。

ですのであまり重たい素材のものは使えないと判断しました。

以下の2つの方法のどちらかで検討することにしました。

A)大判プリンターで出力したポスターをパウチ加工する。
B)発泡塩化ビニル素材(ソフロン)のパネルに出力したポスターを貼り、表面をマット(つや無し)ラミネート加工する。
C)極厚の塩化ビニルのメディア(印刷する素材)にプリントし、表面をマット(つや無し)ラミネート加工する。

まずAのパウチ加工の方法だと以下のことが懸念されます。

・表面がつるっとしているので光が反射しやすい。

・面積が大きくなると、“うねり”がでてしまう。

・チープなイメージになってしまわないか心配。

大きさがA1サイズとかB1サイズまでならポスター扱い的な感じになるし、パウチ加工でもよいのですが、とくに今回は幅が875mm、高さが2400mmあるので、表面がうねる可能性が考えられます。

次に、Bの発泡塩化ビニル素材(ソフロン)の場合は、1mm厚のものを用意し、その上にプリントしたポスターを貼りつけます。表面はマットラミネートです。

この方法だと硬い板にプリントしたようなイメージになり、非常に仕上がり感が良くなります。

オーナー様にはこのBをご提案していたのですが、少しでも金額を安くしたいとのことで、発泡塩ビ素材を使わずに、コシのある素材はないかと検討したところ、Cの極厚塩化ビニルのメディアにプリントし、マットラミネート加工をする方法に落ち着きました。

ちなみにこのメディアの幅は1300mmなので、幅が1250mmくらいのものまではプリントできます。(メディアはロール状なので、長さは5メートルでも10メートルでも出せます)

取り付けが完了した看板 福むすび@中百舌鳥
取り付けが完了した看板

この極厚塩ビのメディアはアクリル系と塩ビ系素材が合わさったものなので、紙と違ってかなりコシがあり、多少凹凸のある壁面に貼ってもフラットをキープできるんです。

ちなみに厚みは880ミクロン(0.88mm)で、ラミネート素材が30ミクロンなので、合計で約1mm厚になります。

裏面には強粘着で再剥離(再びはがすことのできる)の両面テープを等間隔に仕込みました。

極厚塩ビシートの裏側に再剥離性のある強粘着両面テープを等間隔に仕込んでいく様子。看板取付 | デザイズミ
極厚塩ビシートの裏側。再剥離性のある強粘着両面テープを等間隔に仕込んでいます。

ということで、 素材を慎重に選択することで、凸凹の壁面でも薄い素材をきれいに貼り付けることができました。仮にこの看板をはがすことがあっても、糊が残るということは少ないでしょう。

厚さ約1mmの看板。表面はツヤ無しラミネート加工。
厚さ約1mmの看板。表面はツヤ無しラミネート加工。

また、表面にマットラミネート加工をすることで光が反射しにくく、リッチな感じを出すことができます。すこし高級感を出す場合には、つや消しのラミネート加工をされることもおすすめします。