激安系量販店で全国展開する店舗什器を作りたいというご相談がありました。
腕時計や雑貨を企画・製造されているメーカーさんからのご依頼です。
今回は、新しく近視用メガネを新ブランドで全国展開されるとのこと。
「Riku」というブランドで、新たにロゴもデザインさせていただきました。
漢字の「勠(りく)」という文字をモチーフにしています。
Rikuメガネの特徴は、近視用の度付きのメガネが、選ぶだけで自分の視力に合わせて簡単に買える、しかも激安の2980円!というのがポイントなのです。
デザインも流行りのデザインを中心に20種類用意されています。
Rikuメガネを新しく売り出すにあたり、新しい什器を入れるということは決まっているのですが、具体的には一切何も決まっていない状態…
はい!そんな時はデザイズミの出番なのです!
たとえイメージゼロからでも、
この商品を売るにあたり何を訴求するのか?
どんなお客様がターゲットなのか?
どうやったら手に取ってもらえるのか?
などを考え考え、カタチにしていきます。
デザインと素材などの仕様、予算とのバランスを検討していくと…最終的にはこんな感じにまとまりました。
① 幅900mm×高さ1800mm×奥行450mmで展開。一体感のあるデザインにする。
② お客さんがメガネを手に取って鏡で確認できるようにする。
③ 20種類のデザインをすべて見せる。
④ サインは光らせて目立たせる。
以上の条件を踏まえ、什器を設計していきます。
まずはスケッチを描きます。
どんなものを作るにも、私の場合、まずはスケッチです。
で、いくつかクライアントさまに提案したのち、スケッチレベルではこんな感じで行こうということになりました。
スケッチをもとに、今度は素材だったり、どこに製造依頼をするとかいうことを検討していきます。その過程でスケジュールや予算と照らし合わせて、一体物の専用什器をイチから作るのではなく、店舗既存の棚什器をうまく利用したもので行くことになりました。
また、量販店のバイヤーさんに「今度の新商品はこんな什器を展開します」ということを伝えて、承認をもらうための図案が必要になりますので、
その図案を作る作業に入ります。
私の場合は、手描きのスケッチをベースに、Adobeのイラストレーターで描いていきます。
で、こんな感じになりました。
一番上のボックスと一番下のボックスは、中にLEDライトが仕込んであり、光るようになっています。
箱は6面体でアクリル製、正面だけが乳半で後の5面は白色です。
正面はバックライト用のフィルムを差しこめるようにしています。
この方法だと商品を変更しても、サインのフィルムを変えるだけで什器自体を変えずにすみます。
什器を変えるよりも低予算でサイン変更ができるというメリットがあります。
什器のハード面の仕様が決まれば、そこに付けるサインとかPOPのデザインの段階に入ります。
今回は商品についての訴求ポイントをテキスト原稿でいただきましたので、
それをもとにPOPのデザインを進めていきます。これも主にイラストレーターを使って作業していきます。
デザインが確定したら印刷工程に入ります。
印刷するのはフィルムサインと棚オビ、お客さんが購入時にレジに持っていくための商品購入カードです。
それぞれ種類があって、什器1台につき何枚ずつセットしないといけないということがあります。
今回の什器は全国に数百台展開されるので、梱包発送もトラブらないことが大事です。
最近では我々デザイナーも、一般的な規格や紙質のもの、たとえばチラシやパンフレット、ポスターや名刺などは「ネットでいんさ~つ…」とテレビCMしているような会社を利用することも多いと思います。
しかし、今回のように大きさや素材が特殊な場合や、数種類の印刷物を数枚ずつセットにして出荷したりするような場合は
営業担当がしっかりしている懇意の印刷会社さんにお願いしています。
営業担当の方には口頭で説明、こちらの趣旨を100%理解してもらい何かあった時のフォローも万全にします。
ネット印刷が普及している現在、印刷会社さんにとってはなかなか厳しい時代のようですが、
提案力、信用力、対応力など、まだまだネット印刷に勝る面があると思います。
ちょっと話が脱線してしましましたが、、、
サインフィルムやPOPは印刷会社さんから、什器製作工場に納品され、什器と一緒に店舗に送られました。
これで私の仕事も終了です。
クライアント:株式会社ウインズ様
制作物:商品ブランドロゴ制作、店頭什器のデザイン制作、POP(販売促進物)のデザイン制作と印刷
期間:初回打合せから納品まで約3か月